耐震診断・補強工事をしないといけないと分かっているけれど 費用も心配。補助金や助成金制度はあるの??
未曾有の被害となった3.11以来、熊本地震では震度7、大阪府北部地震では震度6以上を観測。
地震大国「日本」と呼ばれる通り、現在も日本全国で地震が発生しています。
今後30年以内にマグニチュード7クラスの直下地震が起きる確率は70%以内とも言われています。いつどこで大きな地震が起こってもおかしくない、とご不安に思っておられる方も多いのではないでしょうか。
マツミもマンションの大規模修繕に多く関わらせていただく中で、地震対策・耐震工事についてお客様からも下記のようなお話やご相談を頂くことが多くございました。
「入居者様に安心して長く住んでもらいたい」
「築年数が古くても、入居率を上げたい」
「でも、なるべくコストはかけたくない。」
入居者様の安全と安心の為、所有物件の価値を長く保つ為に避けては通れない耐震診断や補強工事などの地震対策。ただなるべくコストは押さえたいと考えられるのは当然の事。とはいえ、金額ばかりに目がいき、肝心の補強工事がしっかりと行われなければ意味がない、とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、数ある地震対策の中から耐震診断と是非活用いただきたい助成金・補助金についてお伝えいたします。
◆なぜ耐震診断が必要なのか~旧耐震基準と新耐震基準~
日本で建物を建てる場合は、「建築基準法」をはじめとする法令で規定されたさまざまな基準を守らなければなりません。「耐震基準」もその1つです。
実は耐震基準は過去2度、大きな地震が発生した際に改定されました。
1981年に改正が行われる以前の基準を「旧耐震基準」、改正された後の基準を「新耐震基準」と呼んでいます。
1981年に建築され、新耐震基準をクリアしている建物も、
2021年になると築40年を迎えます。経年劣化が進み、耐震性能が落ちていることも考えられるため、「現在、どれほどの耐震性を保っているか?」
を把握するためにも、耐震診断を受けることが大切です。
◆耐震診断とは?
耐震診断とは建物の耐震性能を設計図面や現地調査により数値化することです。
耐震診断・構造設計ができるマンション診断士が所属している1級建築士事務所に依頼するのが一般的です。
その数値を基に
耐震補修の必要があるか?
どの部分・範囲をどのような方法で改修工事をおこなうのか?
具体的な耐震改修プランを決めることができます。
◆耐震診断の流れ
耐震工事=大規模な工事が必要な場合が多く、調査自体も段階を踏んで行われます。
① 予備調査
耐震診断の専門家により、建物の設計図書があるか、建物の所在地や現在の用途などの確認、建築物の履歴に関する聞き取り調査、現地調査の可否の確認などが行われます。
② 1次調査
予備調査の内容を現地で確認すること、外観調査、コンクリート強度の調査、建物の現況と設計図書との比較が行われます。
③ 2次調査、精密調査
2次調査は1次調査に比べて、より詳細な調査が行われます。精密調査が行われるのはより精度の高い診断が必要とされる場合です。
◆耐震診断の費用の目安
あくまでも例ですが、
RC造(鉄筋コンクリート造)で延床面積が1,000㎡~3,000㎡の建物で
概ね 約1,000円/㎡~約2,500 円/㎡と言われています。
3,000㎡の場合は、診断だけで750万円にもなります。
さらに、建築時の設計図や構造図がない場合はこの金額を上回る可能性もあります。
他にも、耐震診断費用とは別に「耐震改修計画費」「耐震改修工事費」が別途発生する為、より助成金・補助金の活用が重要になってきます。
◆自治体によって異なる助成金・補助金
助成金・補助金の内容は各地方自治体により異なります。
各自治体のサイト上で情報が公開されていますので、「○○市 耐震 マンション」などで検索をすると良いでしょう。
ここでは2020年12月時点での一例をご紹介します。
|
耐震診断 |
耐震改修計画 |
耐震改修工事 |
東京都台東区 (区の予算の範囲内で補助) |
補助率: 助成対象費用の2分の1
限度額: 200万円/棟 |
補助率: 助成対象費用の2分の1
限度額: 200万円/棟 |
補助率: 助成対象費用の2分の1
限度額: 1,500万円/棟 |
大阪市 (補助予定棟数あり) |
補助率: 診断に要する費用の2/3以内
限度額: 200万円/棟 |
補助率: 設計に要する費用の2/3以内
限度額: 300万円/棟 |
補助率: 診断に要する費用の23%以内
限度額: 3,000万円/棟 |
例 延べ面積1,000平方メートル以上、かつ地階を除く階数が3以上
※2020年12月時点 細かな条件等は各市町村にご確認ください。
上記のように、このほかにも様々な条件や製薬などがあり、助成・補助金は各地方自治体で制度の有無や内容が違います。
中には耐震に関する制度自体がない自治体もある為、まずは自治体に確認をしましょう。
◆まとめ
いかがでしょうか。
耐震補強は賃貸経営において避けては通れない、大変重要なポイントです。
大規模修繕と同様、多額のコストが発生するため、事前に計画し備える必要があります。
まずは各地方自治体に診断や工事に対する助成制度があるか確認をしましょう。
もし制度・サポートがなかった場合は、ご自身で耐震診断・耐震設計が可能な業者の選定を行う必要があり、どこから手を付けたらよいかわからず、ご不安になられることも多くあると思います。
他にも改修工事では入居者様にも少なからずご迷惑やご協力をいただくことも多くあるでしょう。
マツミでは、大規模修繕を多く手掛けた経験を基に、耐震診断を受け持つ協力業者様と連携し、お客様の状況に応じて対応策を一緒に考えさせていただきます。
ご相談のみでも結構です。お気軽にお問い合わせください。